糖尿病によって発症する病気は多々あります。「三大合併症」といわれる「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」「糖尿病性腎症」は、糖尿病で血糖値コントロールをしないでいると、10〜15年であらわれる合併症です。
人工透析を受けている日本人は約23万人いるといわれ、毎年その数は増加しています。糖尿病からの合併症で糖尿病性腎症にかかり、人工透析を受けるようになる患者数は全体の約4割を占めています。腎臓は、身体の老廃物を尿として身体の外に排出する、水分の調整を行う、といった大切な機能・役割を果たしています。糖尿病性腎症の第4期(腎不全期)となり、腎不全で腎臓の機能が全く働かなくなると、腎臓に代わって人工的に血液中の余計な水分、老廃物を取り除く治療を行うことになります。これが「人工透析」で第5期(透析療法期)となります。人工透析には「血液透析」と「腹膜透析」があります。どちらの透析方法も一度行うと一生涯続けることになります。腎臓の働きを助ける人工透析以外として「腎移植」の方法がありますが、日本では臓器提供者が少なく、拒絶反応の問題などがあり、現状ではすぐに手術を受けるのは難しいとされています。
血液透析は、腕の血管から血液を人工腎臓(ダイアライザー)という透析装置を通して水や老廃物、カリウムや水素イオンなどの不要な電解質を取り除き、カルシウムなど必要な電解質とともに、再び体内に血液を戻す方法です。血液透析を行うには血液をダイアライザーに送るための太い血管が必要となり、動脈と静脈をつなぎあわせるための「シャント」を手術によって腕に造ります。自己血管による「内シャント」と自己の血管がもろくなっていて内シャント造設が困難な場合の人工血管よる「グラフト」にします。治療は透析設備をもった病院へ1週間に3回ほど通院し、1回に約4〜5時間ほどかけて透析を行います。短時間で透析を行うために、直後は肉体的にきつくなりますし、体液と電解質バランスの急激な変化による筋肉のけいれんと低血圧になる副作用も起きることもあります。また透析は正常な腎臓の約5パーセントの役割しか果たしませんので、日常生活においても水分摂取量や食事にも厳しい制限があり、医療機関へも定期的に通わなくてはならないため、時間的・精神的にも大変な治療となります。
腹膜透析は自分の腹膜を利用して行われます。腹腔に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や水分が浸透圧の差から透析液側に移行します。1日に数回、1回30分ほどかけて透析液を新しいものと交換し、血液をきれいにするという方法です。事前に腹部分にカテーテルを埋め込む手術が必要となります。「連続携行式腹膜透析携帯(CAPD)」は、特別な機械が要らず、透析液の交換が容易に行うことができることから、最も普及しています。自宅や職場で行うことができ、病院への通院も月に1〜2回で済みますので、血液透析に比べると場所と時間の拘束がありません。また毎日連続して行えるために肉体的にも比較的楽だといえます。「持続的周期的腹膜透析(CCPD)」は透析液を昼間は長時間貯蓄させ、睡眠中機械によって自動的に透析を行う方法です。昼間の時間は自由になりますが、機械を使用しなくてはならないため、夜間の自由は制限されます。「間欠的腹膜透析(IPD)」はCCPDと同様に機械によって透析液の交換を自動的に行いますが、CCPDよりも時間がかかるため、一般的には病院で行われます。